山仲間から差入れが来た。
昨日採った増毛産アイヌネギの醤油漬けだ。天然モンで味も香りも天下一品だ。
採ったその日の下山時に直近のコンビニで「めんみ」を買ってその場で漬け込んだ「生アイヌネギの醤油漬け」。うまくない訳が無い。絶品!
仲間は「今年はやっぱり春が早くて里はちょっと育った感じだが、標高があればまだまだ大丈夫。
登ればこれから旬の群生地もある。」と云ってた。
キムチを添えて粕取り焼酎のロックでじっくりといただいた。堪えられないうまさだ。
春は良い! タランボ、シドケ、アイヌネギ。こごみ、わらび、フキノトウ。
街場にも桜だ。大トリの八重桜が満開だ。葉桜となるころに初夏となる。
うまい山菜を食し、釣りでもやってる間にすぐ解禁だ。
…近頃、時のすぎるのがスッゲー早い。ご同輩はどう?
今年度の業務がスタートしている。カラスやハト、キツネに鹿が対象だ。
集まった従事者も散弾にスラッグ、ライフルと多彩だ。
・・いい距離で大きな鹿が2頭出た。開豁地で200m位だろうかライフルの距離だ。
すかさず事業責任者から一声が飛んだ「バックストップ不十分。発砲中止!」
まこと適宜・適切・明瞭な指示だった。
事業責任者はライフル射撃の世界で実績も経験も特筆すべきベテランで、この日持参したライフルも射撃用のヘビーバレルのM700。自重6㎏オーバーの可変ストック付きでスコープも4‐16。200mどころがその倍でも絶対外さない距離だ。その彼をして発砲中止だ。「絶対に、完全な、安全狩猟の徹底。」見事な判断だった。
自分はというと、バックストップを確保するために高度を取って撃ち下ろしの射界を得ようと丘を回り込んで上がってみた。スコープの中に2頭が重なって願ってもない位置取りになった。だけどやっぱり完全なバックストップは取れなかった・・・残念。
実は、頭の中で都合のいいささやきがあった・・・。「2頭重なっている。1頭は正面。2頭目は重なって横向き。ネックショットで1頭目を貫通しても2頭目の肩口で止まる。その向こうには大木が2本。バックストップとして期待できる。大丈夫!」な~んてささやきだった。
もう一つささやきがあった。「1頭目のネックで跳弾になるとは考えないのか?自分に都合のいい弾道しか見えてないだろう。」
…後者のささやきを採用した。弾を抜いてカートに戻った・・。
改めて強く思った。「OODA」に基づく「自制」。鉄砲撃ちに絶対に求められる資質だ。これからも自らに徹底していきたい。
(だけど良い型の雌だったな~。実に惜しい!‥女々しい心の叫び・・。)
GWだ。ことしも「お出かけ」が制限だし天気予報も雨ときた。
「おとなしくしているしかないんだ。」と思った・・が、考えるにコロナだろうが雨降りだろうが、もともと出かけるところがないんだと気づいた。大ショック!
子供たちは皆成人し独立。カミさんはお友達とスポーツにスイーツ。昭和のオッサンだけが一人取り残されて実は孤独だった・・・。
晴れていればバイクかお気に入りの旧車で遠出もあったかもしれないが、それでもやっぱりおひとり様にかわりないか・・。
コロナで差し迫る老後のマズイ事に気づかされた。なまらヤバいんでない!?
で、生来のポジティブさで気づいた。「そうだ料理しよっと。」切り替えが早いのが自分のいいところと思っている。孤独を解消するには頭を使い身体を動かすことが一番だ。
冷凍庫から鹿肉を出す。解凍して下味をつける。包丁で粗みじん。長芋と玉ねぎを叩きこんで荒ミンチ。小麦粉つけて揚げ焼きのメンチカツだ!
だけど完成するとまた余計なことに気づいた。一緒に喰う相手がいない?
やっぱり孤独だった・・・か。
いやいや、いい友達がいた。親友の竹鶴政孝だ。寡黙でだまって愚痴を聞いてくれるいい奴だ。
GWは決まったな。酒屋へ出向いて親友探しと鹿肉料理だ。 山崎君とか泰蔵さん。トリスおじさんにダニエル君とか呼んでみたい。(「百年の孤独」というスゴイ名前の酒がある。いい酒だが今は避けたい・・。)
令和2年度の猟期も終わった。半年後のオープンシーズンまでしばらくの間街場での仕事となる。
とは言っても、SNSだ、WEBだ、ZOOMにREMOTEの仕事だ。
昨年の今頃は考えもしなかった仕事の在り様にたった一年でこれほど変わるとは思いもよらなかった。そして昭和のオッサンも必要に迫られたとはいえ対応できたのには驚いている。
考えた・・・もしかすると今の時代すべてVRでほとんど事が賄えるんじゃねー!?
NET上で完結できないことが無さそうだ・・・。
猟もプレステのモニター見ながらモンハンの鹿、猪バージョンなんかで課金方式にすれば点数で肉が届くとかできそうだし、釣りや山菜取りだってできる。(新しいゲームシステム開発するか?)
・・・実にいや~な時代になりつつあるな。
REMOTE飲み会もフツーになったようだ。将来的にススキノのオネーチャンもREMOTEになるかもしれない・・・REMOTE同伴とかになってVR、おしぼりや水割りはウーバーイーツだ。
…そんなことになったら、どう~しよう~!
どこかの国のバイオテロで始まったつまんない世相が一般化しそうな雰囲気だ。
道の駅に立ち寄った。八百屋さんがあったので覗いてみるとアイヌネギがあった。まだ時期じゃないだろうと思ったら栽培物だった。いまや山菜もハウス栽培の時代なんだなあと気づかされた。キノコに始まり山わさび、ウド、そしてアイヌネギだ。安くはないけど生産者のそのご苦労と手間暇を考えたら頭が下がる。山菜の栽培は数年かかる。そして収量は多くない。
2パックを買い求め\580だった。まだ出始めで細く小さいが葉が開く前の絶妙な上物だ。帰宅してすぐに醤油漬けにした。洗って30秒ほど茹でて流水にさらし水気をきる。醤油に酒(みりん可)、今回は試しに軽く唐辛子を振ってみた。
自分が好きな食仕方は、市販のロースハムに玉ねぎ(生)のスライス、アイヌネギを乗せ酒のあてにする。ごま油をほんのちょっと垂らすといい。肉系と合わせると実にうまい。
黒パン(ライ麦90%以上)との相性も最高だ。ごま油の代わりにバターを塗ってチーズとハムに合わせてオープンサンドだ。
今期も終猟だ。次期猟期まではオープンサンドも薄切りの鹿肉たたきで合わせてみたい。
しばらくは街場で「酒の肴」の研究開発だな。
(アイヌネギ。天然モンは早いところで例年4月下旬からだが、今年は雪解けが早い。中旬位からいいかもしれない。やっぱ天然モンの味と香りは別格で圧倒的だ!苦労する価値がある。山の幸・里の幸を自覚できる生き方には労苦が伴うことを忘れないようにしたい。)
猟場で狐を見た。それで突然思い出した。日高での野営時の失敗談だ。
テン場設営が完了したり、避難小屋に入ったときは一日が終わった感じでホッとする。靴を脱ぎ、靴下を脱いだら自然と「ヤレ、ヤレ・・・。」だ。
サンダルに履き替え、飯の準備やら酒なんか出したりで疲れてはいるけどかなりなリラックスタイムだ。
ここで注意いただきたい!
「履物や荷をテント外や小屋外など目の届かない・手が届かない所に。置いてはならない。」
キツネと思うが・・・盗られたことがある。ブツはサンダルだったので助かったが、もし山中で靴がやられていたらと思うとゾッとする。かなり深刻な状態になったと想像する。
猟期は当然寒い。降雪の際は遭難となりうる。たとえちょっとの間でも要注意であり警戒するべきと考える。
それと装備にはダクトテープ1m。パラコード、タイラップ大を数本用意されたい。山中でブーツのソールがはがれたことが2度ある。経年劣化だ。タイラップとダクトテープで応急修理だ(写真中央)。針金も1m程度あるといい。自分は刃物のシースやポールに巻き付けて持参している。ウレタン系ミッドソールのシューズは廃棄しかないが、ガムシューは木ネジで補修が可能だ(写真右)。・・いいだけ使ったが、直してしまうあたりが貧乏性だな。いい言葉を見つけた・・「エコ!」ちょっとカッコイイ?
「歳をとると男性ホルモンの産生が弱まる。」とのことだ。これは由々しきことと思う。
猟野では獲物に向かう気合とガッツに影響が出るし、街場ではススキノに出向くモチベーションが下がる。これは当然、農林業被害拡大と街場の経済に大きな下げ圧力がかかることを示唆し、同時に道の財政に直結。鈴木道政が危うくなる。ただでさえ中国ウイルスのせいでエライことになっているのにこれ以上マイナス要因は避けたいところだ。
ラジオでは解決策にも言及されていた。♂ホルモン産生には「良質なたんぱく質」がいいらしい。そして山芋と玉ねぎ、にんにく、ネギ、ニラとの相性がよく効率的な摂取にGOODとのことだ。
ようするに鹿肉だ。
・「玉ねぎと一緒に焼き肉」:写真左
・「ガーリックステーキ」:写真中
・「玉ねぎたっぷり、山芋たっぷりのハンバーグか、たたきにネギだれ」となる。:写真右
ニラは、これもラジオの河村通夫が云ってたレシピだが「生ニラパー」なるものがある。生ニラを3~4㎝にざく切り、大さじ一杯の醤油+大さじ一杯のごま油で和えるだけ。めちゃ簡単で旨。
鹿猟+♂ホルモン産生は域内経済を回復基調に乗せ、道の一般会計にも貢献する。もちろん個人の健康にもいいし健康保険財政の健全化に資する。農林業への好影響は言わずもがなである。
素晴らしい活動である! ・・・森林管理局。も少し規制を緩和されたい。
ま、そんなんであと少しの猟期、ご同輩鹿猟頑張ろう!だ。
ちょっと前に鹿肉は「薬膳」「ダイエットフード」になりえると書いた。要は身体にいい!だ。
しかし大事なことは精進料理や治療食ではないので「おいしく食する。」を忘れてはならない。
それには発砲時の確実な射獲と迅速な放血、冷却が最重要だ。たった三つのことだがこの段階で食肉としての食味・風味が決定されるといっていいだろう。料理としての出来上がりに決定的な影響を与える3要素だ。(ま、みんな知っている衆知の常識だな。)
さて簡単便利な鹿肉料理「竜田揚げ」だ。揚げ焼きなので使う油の量も少なく奥様にも負担が少ない。灰汁も抜ける。
鹿肉は油との相性がいい。唐揚げはもちろん、バターでアロゼやオリーブオイルにニンニクでコンフィやアヒージョなんか最高だ。
我が家の竜田揚げは超簡単。
・ジプロックに厚さ1㎝程度に切った鹿の切り身を入れ、酒・みりん・醤油で一晩漬け込む。(注1)
・小麦粉と粗挽き胡椒をまぶしてフライパンで揚げ焼き。以上。
漬け込みダレを工夫すればいろんな風味が楽しめる。
酒を選ばない料理だ。清酒、ワイン、ビール、ウヰスキー、焼酎。醸造酒でも蒸留酒でもなんでもいい。天下無敵の一品だ。(注2)
注1:鹿の部位はロースとヒレならそのまま漬け込めばいいが、その他の部位は幾分厚めに切って叩いてから漬け込みがいい。筋切りだ。
注2:…飲みすぎてしまうきらいがある。身体にいい鹿肉だが時に健康診断の肝機能に不本意な数値が表示されることがある。…もちろん鹿肉に罪はない。
十勝内陸部に出向いた。いや~さぶい!シバレル!痛い!
暦の上では春に向かっているはずだがやっぱ札幌とは別格の気温だ。
同じ北海道ながらも札幌から日勝峠、狩勝峠を超えて東へ行くと全く別世界が広がる。雪は少なく気温は極端に下がる。スキー場はなくその代わりに各学校には大規模スケートリンクがもれなく有る。スピードスケートのオリンピック選手はほとんどこの地の出身だ。
ご無沙汰の十勝だ。昔の猟場を再訪した。雪が薄いので車でテンコツまで上がれる。そして鹿が居るは!しかものんびり!?とした緊張感に欠ける鹿だ。楽させてもらった。
北海道には大きな峠が三つある。日勝、狩勝、石北だ。北海道を東西に分ける峠は気候を分ける山脈であり、生息する鹿も西と東では種が違うのかと思うほどに立ち居振る舞いに差が見受けられることがある。
もともと雪の多い本道の西に鹿はほとんどいなかった。平成になったころから爆発的に増え始め生息域が西進した経緯がある。新天地を求めた冒険的な個体の遺伝子が西に、保守的な個体群が東と考えると合点がいく。(縄張り争いの勝敗もあるか・・・ま、完全な個人の思い込みだ。科学的な根拠は持っていない。たまたま経験上そういう風に見受けられたことがある程度の話だ。)
人に置き換えて考えると面白かったりする。チャレンジャーと堅実派、保守に革新。大手指向かベンチャーか、家庭での長男次男とか…。「多様性」興味深い。
鹿猟は面白い!獲物を獲得する原初的な本能の悦びとともに、時にちょびっと理性を働かせる思索の世界が広がったり・・する。
時代がやっとエゾシカに追いついた。「鹿猟・鹿肉がオッサンを救う。ついでに家内安全。」
若い頃は全く気に留めることのなかった健康診断の数値と「要経過観察」の付記。
これが軒並み「要治療」に変わる時が来る・・・オッサンの勲章ともいえる高血圧、高脂血症、肥満、糖尿、肝機能、高コレステロールに高尿酸値・・それらひっくるめての「生活習慣病」。
さてご同輩、いくつ当てはまるかな? おそらくてんこ盛りかと拝察する。
小職は先日の健康診断で総蛋白と赤血球数が低いとの所見だった。要するに「肉を喰え!」だ。
そこで改めて調べるに鹿肉料理は「最高の薬膳であり最強のダイエットフード。」の知見が得られた。
カロリーは畜肉の3分の1から6分の1、脂質は8分の1。タンパク質は牛の2倍あり、鉄分は豚の4.6倍、鶏の9倍とのことだ。よくわからないがオメガ6とかいう必須脂肪酸もあるとのことでなんか暗号みたいでさらに鹿肉カッコいい。生活習慣病対策には効果覿面、アスリートからも「筋肉を維持しながら脂肪を大幅に落とす。」として注目されているとのこと。
愛する妻に受け売りを披歴した…彼女の眼の奥が一瞬光ったような気がした・・・。もくもくとバラシと焼き肉の準備をしてくれた。そして「次は竜田揚げにしようかしら~。」だ。
「数値」。お互い若い時はどうでもよかったことがここにきて気になるお年頃となった。それらの懸念払拭には鹿肉だ!ちょっとの蘊蓄で妻の積極的な協力も得られ家庭円満で心身共に健康となる。
(写真はロースとヒレだ。玉ねぎは「7つの病を防ぐ」といわれている。完璧だ。)
独りモンの若い衆に言っておく。近い将来「一緒に鹿肉食べよう~!」が最強の口説き文句となる。ハンターが必ずモテる・・様になる・・はず・・。 未来を信じ精進されたい!健闘を祈る。