4月を迎えすでに昨期となってしまったH26年度。仕事に追われなかなか思うように猟に出られず自分の中では少しフラストレーションがたまった猟期だった。次期は万全の態勢で臨む!
今年は10月までに、その後の残り半年分の仕事の段取りをつけてしまえばいい。
ヤルぞ~!
そして気分を更に前向きにするにはやっぱり「獲物で一杯。」が一番だ。
何よりモチベーションを上げてくれるし、何やるにしてもヤル気が出る。「獲ってくれば、うまいもんが食える!」は本能に訴えかける何よりの動機づけと思う。
新年度に入りいつものBarで新作が矢継ぎ早に供された。
どれもこれまでにはなかった手法での一皿だ。
*エゾシカ背ロース フライパンロースト クレージーソルトウエルダン。
付け合せのソースが秀逸! ウエルダンにドンぴしゃりだった。
=オリーブオイルにガーリック。オリーブの実グリーンとブラックのみじんにタマネギソテーを和えて塩コショウ=
いや~、ウエルダンの意味が分かった。肉がソースを吸い込む。歯ごたえも最高!食事としての料理ではなく、酒の当てとして、肴として、特化した一皿だった。酒はラガヴリン16年。う~ん、モチベーション上がる~。
**エゾシカ リエットのバゲット。
丁寧に手ほぐし、そしてバゲットだ。バゲットもガーリックトーストに仕上げてあって「あったかいんだからぁ♪~」の一品だった。ワインは「マルキ・ド・ボーラ ソビニヨンブラン」白。ワインはよくわからないけどヨカッタァ~。
***エゾシカ醤油麹漬けにジャガイモのフライパン炒め。
仕上げにチーズを載せてパセリを振る・・・。醤油麹漬けの肉の風味・柔らかさがホクホクポテトとチーズに合体!! 醤油麹最高。酒は純米吟醸でいただいたが、ビールでもワインでも酒を選ばないと思う。
いや~長生きはするもんだな!
4月の第2週。阿寒で会議があり1泊2日で札幌から出向いた。
足寄からの峠の道中で国道沿いに鹿が群れているのを車中から見た。
車を止めて写真を撮った。
鹿め、完全に終猟がわかっている。
車を止めてもカメラを向けても一向に逃げるそぶりを見せない
・・鹿の心の言葉が聞こえてきた・・・「先々週で今期は終猟だろう。お前も今はどうせ丸腰だろ!ま、写真でも撮っていけや、ポーズはこんなんでいいか?」
そんな風に聞こえた・・・。
国道沿いで距離は15m位かと思う。
毎年、4月になると国道沿いの法面には鹿が多い。
その年によって自分の感じ方も随分と違う。猟期中に豊猟だった時は「よし。よく生き残った!頑張れよ!」の時もあれば、猟にあんまり出られなかった年の4月は「この野郎!当て付けかー!10月までそこに立ってろ!」みたいな感じ。
人間調子いいもんだなあ~と自省を深める4月だ。
十勝も釧路管内も残雪がことのほか多かった。やっぱり今冬の爆弾低気圧波状攻撃のせいだな。気候がやっぱり変だ。鹿の付場も変わってくるに違いない。
だけど今度の10月。とりあえずは阿寒だ!
待ってろよー!今度向けるのは、同じニコンでも望遠レンズじゃねーぞ~、照準眼鏡だ-。
2月にシェフ小鹿氏の退店(独立開業の為)によりジビエフレンチの店パロンブが閉店となった。
通いなれた店で居心地もよかったので残念だったが、シェフの独立開業という夢の実現の為であり新店舗のOPENが4月頃とのことで開店案内を心待ちにしていた・・・。
今日、DMが来た。
オーナーシェフとしていよいよフレンチ「ゴーシェ」の開店だ。
どんなお店なのか今から楽しみだ。フレンチ・シャルキュトリー・ワイン・ジビエ・・・
・・・シェフと知り合うまではフレンチもワインも全く縁がなかったが、人生遅ればせながらフレンチデビューをさせていただいた。
(それまで日本男児!大和魂!根性!みたいなちょっと偏った生き方だったのでフレンチには「軟弱者―!」といった、何の根拠もない拒否感があった。いま深く反省している。)
ま、とにかく美味い(パロンブで確認済みだ!)
新店はシェフと奥様の二人で切り盛りとのことだ。
落ち着いた頃を見計らって訪れてみようと思う。
テーブル席で20席、カウンターで5席。ワインのほかにビールや1~2種類のウイスキーも用意するとのことだ。
札幌市中央区南3条西8丁目 太陽ビル2F
011-206-9348
上記電話番号ですでに予約を承っている。「開店準備で朝から出ているので、お電話ください。」とのこと。(時々、買出しその他でちょっとだけ出かけている時もあるのでその時はご容赦の程。)
(囲い込み罠 プロトタイプ) (エゾシカ食肉事業協同組合 缶詰) (狩猟フォーラムでの試食会ブース)
今週の日曜日、NHK全国放送で短いけれど興味深いプログラムが放映された。
ジビエの可能性と有害鳥獣に関する各地の取り組みなどの内容だった。
要約すると、
鹿は本州だけで216万頭が生息していて、北海道は60万頭。年20%の率で増え続け、自然減とは別に年間20万頭を獲らないと減らせない。
そして全国の自治体の内1,800市町村が何らかの対策を講じている。とのことだ。
特に命をいただくことでもあるので、各地では有効活用に着目している。
まずは肉の流通。課題は「安定供給」「安全性」「価格」だ。
ここで、北海道の「エゾシカ食肉事業協同組合(参画企業10社)」が注目されていた。囲い込み罠を使い「大量供給」「高い品質管理」「値ごろ感ある価格設定」を実現していた。
当該地区14か所でセンサー付き全自動囲い込み罠の導入による大量捕獲(シーズン月間300頭)。獣医師による食肉検査の実施。道内スーパー(生協)との連携による販路の確保。
毎月第4火曜日(シカの日)としてのイベント化とオリジナルソングの導入。これまで2000頭ほどを出荷したとのことだ。
「エゾシカ食肉事業協同組合。」もちろんビジネスとして取り組みだがジビエにおける成功事例であること間違いない。正確にはジビエではなく、デミソバージュと定義される食肉だが、有効活用においては「食の安全性」を限りなく追及する素晴らしい取り組みであると思う。
生協の食肉コーナーで気軽に手にできる食肉「エゾシカ肉。」・・・・(カミさんに言われた・・「山へ行くより、生協に行ったらは?」・・かなりガクっときた。「俺のは完全なジビエだー!」と喉まで出かかったが、狩猟世界は女には理解の外だよなと飲み込んだ・・・。)
ご同輩の諸兄。狩猟税も弾代も、燃料代もばかにはならないけれど、やせ我慢でガンバロー!!
(革製品の可能性もとり上げられていた。柔軟性があり、軽く、丈夫であり加工が容易とのことだった。今後この分野のますますの発展に期待したい。)
マッサンブームで洋酒が人気の様だ。
本邦2大メーカーも「復刻!」を冠して、懐かしのラベルや当時のブレンドで各種ボトルを市場に投入している。
ミーハーな自分は素直に反応し、早速行きつけのBarでボトルを頼んだ。
新旧のボトルで味比べしてみたり、懐かしのつまみを作ってもらったりとなかなかに楽しい時間だった。
*復刻のウイスキーに、昭和のおつまみ[魚肉角ハムと玉ねぎの塩コショウ炒め]。
ご存じ「魚肉角ハム」だ。(昭和の時代、ハンバーグと呼ばれていて、子供時分の自分は永らくこれを信じていたし、ご馳走だった。) 今でも好きだ。
さて、鹿肉だ。
今回二品を紹介したい。いずれもOwner’s Specialだ。
*シカ肉 しんたまシチュー。(穂別産)
見た目、デミグラスソースのようだが赤ワインと野菜ジュースをベースにしてルゥを作り、各種スパイスを隠し味に、しっかり煮込んでいながら、あっさりと仕上がっていた。肉の大きさ、厚みも絶妙でうまかった~!
グラッパと合う逸品だった。(Ownerは、簡単だよ!と言っていたがセンスだよな~。)
*シカ肉 腕肉・首肉チリコンカン。(厚真産)
チリコンカンが大好きな自分としては大満足で最高の一品だったが、鹿と言われなければ多分わからなかったと思う。酒はもちろんテキーラだ。相性抜群。気分はもう荒野の用心棒のクリント イーストウッドだ。
やっぱり酒に合う喰いモンには時代・文化・歴史・風土があるな。
Barは面白い。
(痕跡だらけ。群れの予感。) (記念すべき1頭。) (骨付きだと、家族のウケがいい。)
今年度新入会員から単独潜行猟での「初猟果」の報告が来た。
忍びでキッチリ詰めていくあたりは「技量甲!」を感じさせる。以下、コードネーム:岳人ハンターからの報告だ。
==============================================
「よし!モリモリ鹿を獲って腕をあげるぞ!!」と意気込んだものの、狩猟者登録以後、仕事などなどで猟に出られない日々を過ごしていた。そして年が明け、なんとか時間が採れたのが1月初旬の某日だ。この日が記念すべき鹿猟のデビュー戦だ。しかし、出てみたところが悪かったのか?ほぼ6時間の膝ラッセルで終了・・・クマゲラ、エゾリスを間近で見ただけ・・・・鹿は遠くに見ただけ・・・・
「こんなもんなのか???」
狩猟第2戦は1月下旬に差しかかる某日、この日は兼ねてより鹿をよく見かけていた某所へ。部会長より頂いたアドバイスを胸に、尾根を駆け上がる。するとゴチャゴチャ鹿がいるではないか。でも私の銃では届くような距離にあらず、近くても走られてどうにもならず。とにかく稜線まで上がり、逃げた群れの先に回り込み上から狙う事としてみた。幸いこの日は南斜面に南風が吹いている。北側の風下側から鹿を探しながらチョコチョコ動き回る。これも幸い、雪が比較的フカフカで足音がしない、足音があっても風があるのでかき消される。
斜面を単眼鏡で舐めるように探すと沢の右岸に寝ている奴らがいるではないか。さっき逃げた奴らだろう。対岸から狙うには200m以上ありそうだ。と、言う事で上に回り込み狙う。長年登山をやってきて良かった。登り、ラッセルが苦にならない。
回り込んで尾根上から覗き込むと・・・・・みんなこっち見ているし。気づかれている・・・・距離計で覗くと130m。ん~~当てられるかな~~?ま、射撃場では当たっているからってことで。見事に走られる。が、当たったようだ。その後、50m位まで詰めて止めを入れる。ありがたい記念すべき1頭だ。一発目は首をかすっていた。止めはしっかり首に。
解体も初めてだ。でもネット動画などで見たとおり、意外とサクサクばらせる。この日は有ろう事にナイフを忘れた。なのでダイソーの100円カッターでばらしたのだが、これが意外にもキレイにばらせる(刃は2枚つかいましたが)。脚は骨付きでお持ち帰り、皮は欲しいと言っていた輩にお土産。
肉は1週間ほど熟成をかけ、カツ、焼き肉、煮込み等などへ。これか子供たちにも好評で旨い旨いと。これはまた獲ってこなきゃダメですね。
==============================================
岳人ハンターさん。おめでとう!初年度から大猟の予感・・・。今後お手柔らかに・・。(管理人)
シカ肉のその可能性に驚いた。
ドライエージングなる手法を初めて体験した。TV、ラジオで耳にはしていたがどんなもんだかは全く見当もつかず「ふ~ん、熟成肉なんだ~、へ~。」くらいの認識だった。
機会があって当該店を覗いてみた。そして試しにと思い、食してみた。そして驚いた。
自分が知っている鹿肉とは全く別物の世界があった。「ドライエージング」恐るべし。
うま味が凝縮!肉料理の別ジャンル!柔らかく、風味豊かで完璧に美味い!
素直に驚き一人で笑ってしまった。(おっさんが夜中にひとりでフレンチ喰って笑っているのはかなり気味悪い絵だったなと、今ちょっと反省している。)
だけど、ま、すっごいお肉だった。
ちょうどお客が途切れた時だったのでシェフと少しお話ができた。お若いシェフだった。
店ではドライエージングの牛とシカに拘っていて。静内の業者「北海道食美楽」の熟成庫から仕入れているとのことだった。
「食美楽では熟成にドライエージングの手法を取り入れていて、低温・一定湿度、そして循環管理をもって中長期の熟成を行っている。最高の素材だ。」とのことだった・・・・。
もちろん最後は料理人の腕が決め手だ。
フレンチやるナ!パロンブのシェフしかりヴィレクールのシェフしかり、若手がきっちちりいい仕事をしている。北海道は素材にも加工にも料理人にも恵まれている。最高―!
ビストランテ ヴィレクール(Vraicoeur)
札幌市中央区南3条西3丁目(都通り)克美ビルB1F
011-252-0033 18:00~04:00 月曜定休
(お一人様だとちょっとさびしい。誰か誘って、ワインでドライエージングがいいと思う。)
ここ数年、年明け事業一発目として定着した「白厚+南鹿共猟」だ。
勢子猟としてはジャストサイズの20数名での事業であり、何と言っても日頃行き来のある両部会の事業である。気の置けない雰囲気が何と言っても一番だ。
下は20代から上は70代まで。新人から超ベテランまで多彩な陣立てになるのも楽しい。
今回も南部会にお世話になった。猟場の選定、見切り、配置、戦術と南の超ベテランのご指導をいただいた。白厚部会も人材としてベテランには事欠かない層の厚さがあるが、いかんせん当日運営事務方の自分が頼りない。(まだまだ修行中の身として、南の小川部会長他ベテラン連と白厚のベテランに甘えさせていただいている。 誠申し訳ない。)
今回の猟場も結構な頭数が入っていた。
無線から「6頭。南斜面を西へ走った!」
「4~5頭、裏の沢底に行ったー。」
「4頭確認。一頭潰した。他は上がった。ツネ回りいったゾー!」
ドッカ~ン! ズッド~ン!バン!バン!
自分は持ち場で1頭も目にすることはなかった。孤独だった。猟友たちはみんな元気だった。
解体・回収の応援に駆け付け、終猟の指示が出た。
昼過ぎ、降り始めた雪はいつの間にか大雪になりその中をベースへと戻る。
だけどそこには、お楽しみの熱々「南部会謹製 鹿汁」が待っていた。
二日間かけて作る「特製鹿汁」。大雪の中、頭と肩に雪を積もらせながら仲間と一緒に頂いた。美味かった~!
日頃、ほとんど一人で猟をする自分だが、二部会の共猟はいつも新しい狩猟の魅力を与えてくれる。「狩猟やってて良かった~。」だ。
一緒にやってみないか?
(BS-TBS「酒場放浪記」) (HBCラジオ タイトルバック) (中公新書「酒場詩人の流儀」)
「酔っぱらいのおっさん。」(失礼)の方が多分わかりやすいかと思う。
BS-TBSの「吉田類の酒場放浪記」の方だ。(北海道ではHBCラジオの金曜夕方の番組でこちらも「ゆる~り・ほろ酔いトーク」のタイトルでショートコーナーを担当している。)
実は自分はTVのこの「酒場放浪記」のファンで結構見ている。
内容は全国の大衆酒場を巡って「唯酒を飲み、唯肴を喰らう。」だ。こんな番組があっていいのかと思うくらいかなりゆるくてシンプルなコンセプトだ。
吉田さんはあんまり酒には強くなさそうで、番組も中盤あたりになると酔っぱらって顔が赤くなり、呂律も怪しくなる。常連さんの小上がりに突入していくなんかは完全にただの酔っぱらいで、かなりいい!
そして実はこの方と白石厚別部会の会員が実は昵懇の仲だったとわかった。
HBCラジオの番組でご一緒だったり、狩猟にも一緒に行っていたり、一緒に山登ったりと楽しくやっているとのことだ。
この度本が出た「酒場詩人の流儀」吉田類著(中公新書¥842)
この本の中で、札幌のベテランハンターとしていきなり巻頭から登場している。俳句仲間のハンターとかT氏とかで書かれているが、白厚部会所属の会員だ。
なんだか件のTV番組も吉田類さんもますます近くに感じるようになった。
まだご存じなかった方は是非BS-TBSをご覧いただきたい。そしてエッセイ「酒場詩人の流儀」なんかも正月にいいんではないだろうか。
白厚部会所属の若手が頑張っている。
レポートをお願いした。かなり大変な所に配置となっているようだ・・・。
===========================================
コードネーム;蝦夷地の用心棒
2030年には北海道新幹線が札幌まで!!と、明るいニュースを耳にしてしばらく経った。事業は鋭意進められており、関係する工事も着工している。
しかし、この事業は渡島半島からニセコ、小樽の山岳地域を次々に貫くモノだ。
その工事を進める前には測量や環境、地質調査が欠かせない。
そのエリアはもちろん「熊」の生息域でもある。道なきエリアの調査を進めるに当たり、作業員の安全を守るのもハンターの務めである。
今回は地質調査に当たる作業員の護衛任務だ。林道の終点から川を遡ること3時間!!さらに強烈な根曲がり竹の尾根を越え、山の反対側まで1時間半、それから調査だ。実質的な調査時間は限られる。そんなような調査を広範囲に毎日続ける。この調査を終えると、今度は伐開路を付けるための護衛、道が付いたら続いて調査用のマシーンを運ぶための護衛などなど。こんなのがあと何年も続くのだと言う。今回のエリアは4頭の熊がいるようだ。200キロオーバーのオス、若いオス、あとメス+子供の組み合わせ。若いオス意外はすんなりと去っていくのだが、若いオスは作業中に近づいてくることがある。幸い一定の距離より寄ってこないのだが気は抜けない。
この新幹線、札幌までのルートは延長の約76%がトンネルだという。地上部の土地改変が極めて限られるので、ある意味環境保全が図られるらしい。持続的な経済発展と合わせて雄大な北海道の自然も後世に伝えていきたいものだ。
写真左;万が一に備えて近づいてくる熊に構える。撃つのは最終手段、作業員に騒いでもらう。
写真中央;伐開路は草刈り機を回しているが油断できない。ルートは高性能のGPSでナビゲーションしてもらう。
写真右;谷底に逃げて行った熊をスコープで追う。尾根向こうに去ったのを確認してから調査地点に降りていく。